「大盛りにしてくれ」炊き出し中、一杯の豚汁から生まれた人々の優しさに胸が熱くなる。

2016.03.18 impression

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そしたら、みんな、笑顔で一斉に首をタテに振りはじめたんだ。
 
「ばあちゃん、よがったね。大盛でいいってさ」
 
気持ちいい位、皆が首をタテにふるもんだから、僕も満面の笑みで「これでもよかっ」てくらい、ナミナミの豚汁を注いであげたんだ。
 
「ほいっ、おまたせ、超大盛の豚汁だよ」
 
そう言って、ふとその頑固そうな婆ちゃんの顔を見ると、満面の笑みで、穏やかな顔で、でもちょっと涙目で、
 
「おう。兄ちゃん、あんがとよ、この豚汁1杯でよ、全てチャラにしてあげるわ。
オレの財産全部と豚汁、交換だな。
また明日から元気で生きべ。
震災あったけどよ、兄ちゃんと出逢えたから良がった」
その瞬間!なんかもう僕は無我夢中で、婆ちゃんに抱きついていたんだ。
 
「絶対頑張んべな!婆ちゃん有難う。有難う。頑張んべな」
 
そう言って僕は婆ちゃんとハグしながら号泣していた。
婆ちゃん、僕の方こそ婆ちゃんと出逢えて良かったよ。
ありがとう。
 

 
突然、今まで当たり前に思っていた大切なものを全て失ってしまったおばあちゃん。
 
その苦しみは想像を絶します。
 
恐らく自分の正気を保つ為に気を強く張っていたものが、人の温かさに触れて、それがたっぷりと入った豚汁をもらった瞬間に我慢しきれずに溢れ出てしまったのでしょう。
 
こういった状況の時には何よりも人の温かさが嬉しいものですね。
 


Writing by Y.sato of cadot


出典:涙が止まらない


画像引用元:http://koichi4005.blog35.fc2.com/blog-entry-567.html?sp


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