またも素っ気なく終わってしまった商談後、直前まで提案資料の作成に取り組んでいた僕は、上司にひと言ポツリとぼやいてしまいます。
「だから中国人は苦手なんだよなぁ・・・」
すると上司は、突然足を止め、その場に立ち止まります。
歩いていた僕も上司が足を止めた事に気付き、急いで立ち止まり上司の方を振り返ります。
そこには、今まで見た事のない、険しい表情の上司がいました。
「今のは、絶対にだめだろう」
一瞬何に対して言っているのかわからない僕は、少し困惑してしまいました。
すると、上司が言葉を続けます。
「自分が仕事で上手くいかなかった事に対して、何で相手が中国人である事が問題であるかの様に言うんだ」
「関係ないだろう、相手が中国人であるという事は」
「お前は『日本人は苦手』と言っている様な担当の企業に、高いお金を出して提案を聞き入れようと思うのか」