家を飛び出してからしばらくして、友達の家の電話がなります。
友達は電話に出ると、私の父親からの電話だったようで、
「あ、もしもし。
はい、家にいますよ〜!」
はい、家にいますよ〜!」
と軽く告げてしまったのです。
しかし、電話の向こうで父親は、
「明日、向かえに行くんで、それまでお願いします」
と一言話し、電話を切ったそうです。
「なんで今じゃないんだろう。
やっぱり私がいなくても、問題ないんだろうな」
やっぱり私がいなくても、問題ないんだろうな」
そんなことを思い、私は友達の前にもかかわらず大泣きしてしまいました。
状況を聞いた友達はただただ話しを聞いてくれ、一緒に夜を明かしてくれたのです。
そして、翌日の朝、宣言通り父親が迎えに。
私はとてもじゃありませんが家に帰れる様子ではありませんでした。
普段はあまり私に言葉を掛けない、しがない父だと思っていましたが、この時は違いました。
「ごめんな、お前の気持ちをしっかりわかってやれなくて。」
「父さんも母さんも、お前をいらないと思ったことなんて一度もない。
だけど、お前が家を出て行く瞬間、誰も「行くな」とは言えなかった。」
それっていらないってことなんじゃないの?と私は心中思っていましたが、父は続けます。
「母さんな、誰よりもお前の幸せを願ってるよ。
お前が成績が悪かろうが、夜遊びしていても何も言わないだろう?
それは、お前がずっと笑顔を絶やさないからなんだよ。」
「母さんが学生時代の頃、親からの拘束がとても厳しくて、友達もできなければ、外に出ることですらままならなかったらしい。」
「そしてある日、心が病み、命を絶とうとしたんだ。」