th_syokuji

妻の言葉に、あからさまにオドオドとする私。
それはそうです、つい朝まで、お互い元気に仲良く接していたのでした。
もちろん私自体後ろめたいことは何もないので、妻の反応自体が何を意味しているのかを理解することができなかったのです。
 
「言わなければならないことって、何?」
 
もしかしたら妻が何か隠し事をしていたのかもしれない。
そんな心配ばかり募る状況の中、妻は衝撃的な言葉を口にするのです。
 
「今日、いつもの記念日でしょう」
「本当にごめんなさい」
「私、一つ隠していたことがあるの」

 
隠していたこと・・・
胸がざわざわするような感覚になっている中、妻は言ったのでした。
 
「私・・・チーズが苦手なの」
 
あまりに自分が想像していた言葉と違っていて、思わず「もう一回言って」と聞き返してしまった私。
そう、いつもこの嫁さん孝行の日に作っていた料理に必ず入れていた「妻の好きなチーズ」が、実は妻は苦手だったと言うのでした。
 
「チーズ、好きじゃなかったの?」
「いつも、チーズ大好きって・・・」

 
びっくりして妻に聞く私に、妻は返します。
 

「実はずっとチーズが苦手で」
「でもあなたが作るチーズ料理、本当に一生懸命作ってくれてるのが嬉しくって」
「そうして頑張ってくれることが嬉しくて、ついチーズを『好き』っていってしまったの」

 
「そうしたら、あなたが毎回チーズ料理を作るようになって」
「本当は苦手ってもっと早く言えばよかったんだけど」
「あなたが頑張って、私を想って作ってくれる前でそういう風に言おうとどうしても思えなくて」

 
妻から出てきた言葉は、私を心から思いやるが故に、悩んでいたという言葉の数々。
その一言一言に、思いやりを感じることができました。
 
「でもこのまま嘘ついても、あなたに申し訳ないから」
「ちゃんと言おうと思って、言ったの」
「今まで嘘ついててごめんなさい」

 
妻からの告白が終わると、妻はなぜか目に涙を浮かべます。
明るく笑いながら抱きしめて、
 
「これからは他の料理作るからね」
「気づいてあげられなくてごめんね」

 
と言いながら、チーズを使わない料理を作りました。
 
ちょっとした思いやりから、言えないこともあるんだなと思った出来事。
そうしたことに気づいてあげられるようにならなきゃなと、初めて思うことができました。
 
これからはもっと会話をして妻の気持ちを確認しながら、妻に喜んでもらえる料理を作ろうと思います。
 


Writing by M.Yamada


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