どうやらたまたま、同じタイミングで同じ場所に出かけてしまった様子。
「どうしてここにいるの?」
とっさに聞く彼女に対して、怒りというよりあきれ顔のような顔をしながら、彼は口を開きます。
「いや、こっちの台詞」
「仕事って言ってたのに、何でここにいるの?」
仕事と伝えていたことを思い出した女性。
「もう本当のことを言わないと」と思い、口を開きます。
「ごめんなさい、仕事って言ってて」
「正直言うと、今恋愛のモチベーションがすごく下がってる」
「そんな中会うのも申し訳ないし、傷つけちゃうかと思って、仕事って言って距離とってた」
表情を変えない彼。
そして今度は口を開きます。
「いや、距離をとるとか、例えば別れたいとか、そういうのは自分の気持ちだから良いと思うの」
「一番聞きたいのは、何で仕事って言ってたわけ?」
彼の質問に、一瞬戸惑ってしまった女性。
何で仕事って言っていたのか?
気持ちの整理も出来ないまま会うのも彼に悪いと思ったからだ。
「今の気持ちのまま会ったら、傷つけちゃうと思って」
口にすると、彼の表情が一段と暗くなったように感じてしまいました。
そしてその後に言われた言葉・・・
それが、自分が言った言葉を強く反省させるのでした。
そういうの、本当にやめた方が良いと思う。
あなたの為に嘘ついたとか、傷つけると思って嘘ついたとか、そんなの思いやりじゃなくてただの嘘じゃん。
だって、自分がその気持ちで会いたくないからついた嘘なんだから。
ずっと仕事って言われたら、体調大丈夫かなとか心配だってする。
でもそれが実は嘘で、しかもその嘘は「あなたの為についてました」なんて、俺はどうすればいいの?
自分の為に、自分を守る為につく嘘はただの嘘だよ。
それを思いやりと勘違いしちゃだめだよ。
そんな思いやり、された人は何倍も何十倍も悲しい想いになるんだから。
真剣なトーンで話す彼。
この時彼女は、彼の顔を見れなかったのだとか。
でも、確かに自分の中で都合のいいように嘘と思いやりを解釈していたと反省しながら、その言葉を聞いていたのだそう。
その場はそれでお別れ。
結局、その後しっかりと話し合い、交際はやめることになってしまったと言います。
「本音と建前」というのは、人間関係においてある程度必要であるというのは、社会を生きていれば仕方がないことの様に思います。
でも、どこか「相手のため」と思いながら、自分勝手な「嘘」を相手に伝えていることもあるのかなと、この女性のお話を伺っていて思いました。
自分のための嘘は、ただの嘘。
それを「相手のため」と解釈し、無責任な思いやりを押し付けると、それがかえって相手を傷つけてしまうこともある。
そうならない為にも、「本音と建前」の中でも、 “思いやり”と”嘘”というものをしっかりと切り分けて考えようとする姿勢が、とても重要なのではないでしょうか。
Writing by Yuki Kato of Cadot
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