誕生日のため、子供のために誕生日用のケーキを作っていた時のこと。
隣の部屋で義理母と娘が遊んでいたのですが、その声は狭いキッチンにまで聞こえ、会話が耳に入ります。
「誕生日、何が欲しいかな?」
楽しそうに娘に話す義理母。
娘の前では、決して私の悪口は言いません。
普段私の前で見せる鬼の様な態度は一切出さないので、優しそうに娘に話す義理母の声に、いつも複雑な、悲しい気持ちを抱いていました。
その時、娘の声で、
「ずっと何もいらないから、おばあちゃんに一つだけお願いがあるの」
という様な言葉を言いました。
「何かなー、できることなら聞いてあげるよ」
「あ、手紙書いてくれたの」
「おばあちゃん嬉しいなぁ」
続けて聞こえる、義理母の声。
何か娘が義理母にあげたのだろうか。
するとそのまま、しばらくずっと、二人の声が聞こえなくなるのです。
しばらくは何も気にしませんでしたが、多分その後3分位、全く義理母も娘も声を発しませんでした。
その違和感に対して「何かあったのか」と心配してしまい、料理をやめて娘の名前を呼びながら二人がいる部屋に向かいます。
部屋に着くと、娘が義理母の隣で、義理母が手に持っている手紙の様なものを手を覆って隠しています。
義理母は、私の方を見るだけでした。