彼は小さい頃から音楽に強い関心を示し、知らないうちに独学で家にあるエレクトーンを弾けるようになっていました。
そしてデレクが5歳の頃、母は彼を視覚障害者のための学校見学に連れていきました。
すると校舎の中からどこからともなくピアノの音が聞こえてきたのです。
デレクはその音が鳴る方へ吸い込まれるように向かい、ピアノが置かれている部屋へと入っていくと、そのままピアノに向かって椅子を引いて座りました。
その時デレクにある変化が起きたのです。
そこには、姿勢がすっと伸びてどこか落ち着きと自信さえ感じられるデレクの姿がありました。
そしてデレクが鍵盤に触れた瞬間に、母親は彼の才能を確信しました。
彼の指が鍵盤の上を軽やかに踊り、メロディーを奏でたのです。
そのままピアノの側を離れようとしない彼を、母親は止めることができず、この時息子にはピアノの教師が必要だということを確信したのだそう。
その後デレクの非凡な才能が、ピアノ教師によってすぐに見出されることになります。
デレクは数ヶ月農地に難解な課題曲を次々とマスターしてしまい、週一で行っていたレッスンも気付けば週7回に。
彼は絶対音感と、天才的な音楽センスを持ち合わせていたのです。