私は、数年前まで交番勤務の警察官でした。
日々自転車やパトカーでパトロールに巡回したり、街の安全を守る警察官の仕事に誇りを持って定年退職を迎えました。
私は35年間の警察官人生で、日々色々な事件や人に出会ってきた。
そして、その日に起きた全ての出来事をノートにまとめる事で、一日が終わる…そんな35年間を送っていました。
つい先日、身辺整理も落ち着き第二の定年生活をスタートしようとほのぼの過ごしていた時、何もする事がなかったので今までまとめたノートを見返してみる事にしたのです。
そこで、数年前に私が自ら経験した出来事で、これから最も重用視すべきメモを見つけました。
この時期は、毎日30度を超える真夏日が続く夏期。
警察官は夏場であろうと、自転車でしっかりパトロールをします。
汗をびっしょりかきながら事件や不審な事はないか、困っている人はいないかと、街の隅々を巡回。
するとそこで、不自然な軽自動車を発見したのです。
道路の路肩に停車されている一台の軽自動車。
その光景だけ見れば何も不自然な事ではないのですが、この軽自動車をよく見ると、何故か小刻みに揺れているのです。
なんだ?
中で誰か暴れているのか?
最初はその程度の関心で近付いてみたのですが、運転席を見ると誰も乗っていないのです。
後ろの席には真っ黒なスモークがかかっていて後部座席が確認出来ません。
「なんだろう?気のせいか…」
そう思いその場を立ち去ろうとした時でした。
車の中から声が…