ママ出してー
タスケテー
暑いよぉ!
そう大きくはない声ですが、ハッキリとそう聞こえました。
運転席側の窓に顔を貼付け、中をよく見てみると後部座席に女の子が二人ぐったりとした様子で座っているではありませんか。
慌ててドアを開けようとするも鍵が掛かっているので開くはずもありません。
周囲を見渡しても運転手や親らしき人物も見当たらないため私もパニック状態になってしまいました。
「どうすればいいんだ…」
迷った挙げ句、子どもの命に関わるかもしれないと判断し、腰から警棒を振り抜き窓ガラスを破壊。
中から女の子二人を急いで外へ連れ出しました。
二人は、極度の脱水症状に加え滝の様に汗をかき、意識が朦朧としていました。
恐らく最後に残った力を振り絞り、外にいる人や母親に助けを求めようと車の中で動いていたのでしょう。