腑に落ちない状況でしたが、勉強も捗っていなく、気分転換くらいの気持ちで母の書いた住所へと向かいました。
そのメモの訪ね先に、『前田裕子』という女性の名前が書かれていましたが、全く聞いたことのない知らない名前。
「誰なんだろう、母と自分とどんな関係があるのだろう」
そんなことを考えながら、電車に揺られていたそうです。
電車を乗り継ぎ、辿り着いた住所。
そこには小さなアパートがありました。
チャイムを鳴らすといくつくらいだろうか、康太君の母よりも年配の女性が飛び出してきました。
「康太君?大きくなったのね!」
親戚のおばさんのようなノリで話されるが、面識はなく少し困惑してしまったそうです。
「前田裕子さんでしょうか?母から訪ねるよう言われたのですが・・・。」
と言葉を返します。
「私は裕子の母親よ、裕子も喜ぶわ!あがってちょうだい。」
「お邪魔します」
そのアパートの一室へと招き入れられ、「裕子さんはどんな人なのかな」とソワソワしながら、おばさんの後についてきました。
「裕子、康太君だよ」