「大盛りにしてくれ」炊き出し中、一杯の豚汁から生まれた人々の優しさに胸が熱くなる。

2016.03.18 impression

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「一杯の豚汁」
 
3月14日。
 
大震災から4日目の夜、僕の人生観が大きく変わる出来事が起こった。
 
炊き出しボランティア3日目、昼間から準備していた1200人分の豚汁を作り、皆に配給していた。
 
正直、僕も料理人のはしくれだから もっと豪華なものを提供したいと思ったけど、
1200人分の食材を考えると、こんなもんしか出来ないって、ちょっと申し訳ないくらいに感じてた。
 
殆ど肉の入ってない『豚汁』という名の『野菜スープ』。
 
僕の列に並んでくれた人に次々に豚汁を配っていると、その婆ちゃんは僕の前に表れた。
 
「おい兄ちゃん、オレの家は津波で流されちまったんだ。
爺ちゃんも何処かさいっだがねぇ。
もう、なにもかも無くなっちまったからよ、豚汁、大盛にしてくれ。
それくらいしてもらってもバチ当たらんべよ」
 
正直、一瞬、悩んだよね。
なんか気難しそうな頑固ババァって感じだったし。
可哀相だけど、1人だけ大盛を認める訳にはいかないから、
 
「みなさ~ん。
すみませーん。
このお婆ちゃん、津波で家やら全部流されちゃったみたいで~
可哀相だから、特別に豚汁大盛でよそってあげても良いですかぁ~」
 
僕はありったけの大声で、後ろに並んでいる人達に聞いてみた。
ちょっとふざけた感じでね。
 

 

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