テスは自分の貯金箱を開けて中に入っていた小銭の数を何度も確かめます。
そして再び小銭を貯金箱の中へと戻し、それを抱えてこっそりと誰にも知られないように家を出ました。
テスは家からそう遠くない薬局へたどり着き、店の中の列に並び順番を待ちます。
しかし一向に終わる気配のない薬剤師と前の客との長話。
足踏みをしたり、咳払いをしてみても気づく様子がなかったので、テスはついにしびれをきらして貯金箱に入った小銭を薬局のカウンターへとぶちまけました。
引用:maxdiaries
これにはさすがに気付いた薬剤師。
やっとテスの方を向いて、喋りかけました。
引用:pharmacy.biz
「久しぶりに会った弟と話していたんだ、気付かなくてごめんよ。何が欲しいの?」
「私にも弟がいる!」
テスは興奮気味にそう言いました。
「でも病気で…だから弟のために奇跡を買いにきたの」
薬剤師の男性はテスの言った意味がよく分からないという様な表情を浮かべていたので、更に続けました。
「私の弟アンドリューっていうの。頭の中にできものがあって、それがだんだん大きくなっているの。パパがアンドリューを助けるお金がないって言ってたから、キセキがいくらで買えるのか知りたくて…」
「おじょうちゃん、力になってあげられなくて残念だけど奇跡は売ってないんだ。ごめんな。」