マリアは駅に着くと、ホームへと続く階段の途中ですでに電車がホームに入ってくるのが見えました。急いで階段を駆け上がり、ホームの前方に行き車両が停車するのを待ちました。
しかし次の瞬間、バランスを崩したマリアはホームから転落し、電車の前へと投げ出されてしまったのです。
そして、マリアはそのまま電車にはねられて頭を強打。
電車の車輪がレールの上を移動するのを眺めながら、意識を失いました。
マリアは、すぐ近くの病院に搬送されました。
医師たちは、電車にひかれた女性が生きて運ばれて来たことに驚きを隠せない様子。
そしてマリアの腹部を見た瞬間、一刻の猶予も許されない状況だと分かりました。
知らせを聞いて病院に飛んで来た夫・ヴラディーミルに、医師たちは何も約束をすることが出来ませんでした。
その間もずっとマリアは、生と死の狭間で戦っていました。
そして医師たちの腕に2人の命は託されました。
複雑な脳の手術はおそらく耐えきれない、助からないだろうと、担当医は考えていました。
しかしマリアは、必死に生きようとしていました。
医師たちは、彼女の生命力に心打たれていました。
そのまま、集中治療室で2か月が経ちました。
担当医は悩んだ末、お腹の子供を帝王切開で取り出す決断を下します。
子供を救うには今やらなければならない。
しかしマリアの意識が無い中で行われる手術のリスクは大変大きく、皆が奇跡を祈るほかありませんでした。