「うーん、ちょっとなぁ…」
何かモヤモヤと考え込む様にし、やんわりと誘いを躱している様に思えました。
当然私としては、乗り気になっているこの気持ちが抑えられません。
ちょっと駄々を捏ねながら、なんとか彼をペットショップに連れ出そうと言葉を交わします。
「猫、飼いたくなくなったの?」
「いやそういうわけじゃないけど…」
「出かける事自体がいやって事?」
「いやそうじゃなくて…」
彼のはっきりしない態度に、少しずつ苛立ってしまう私。
そうして一向に会話が前に進まない事に、結局私がふてくされてしまったのでした。
そんな態度に気づいたのか、「ちょっと聞いて」と、私に話しかけます。
そしてその後に出てきた言葉は、私がその時全く考えもしなかった、思いがけない言葉だったのです。
猫を飼うなら、保健所から猫を引き取りたい
全然考えもしなかった言葉に、「えっ?」と聞き返してしまう私。
彼が考えていた事は、「もっともっと動物を大切に思わないと」という、私が考えていた動物愛よりもはるかに大切な事でした。
ペットショップにいる猫も犬も、もちろんすごく可愛い。
可愛いから、みんなほとんどちゃんと飼い主に引き取られるでしょ。
だから俺たちがそこで買わなくても、みんなちゃんと幸せになれると思うんだ。