ある日のことでした。
いつものようにボランティアスタッフが施設内のシェルターを巡回していました。
ここに収容された動物たちは、人間から飼育放棄を受けたペットが集まっており、悲しい思い、辛い思いをしてきた動物たちで溢れています。
そんな悲しい思いをしてきた動物たちの中に一匹、老いたピットブルがいました。
この犬の名前は”ジェイド”。
シェルターという囲われた狭い空間の中、ずっと孤独に過ごしているジェイド。
そんなジェイドの横に、一人座るおばあちゃんの姿がありました。
おばあちゃんは時折シェルターの隙間からジェイドの頭を撫でてあげながら”あること”をしていたのです。
このボランティアスタッフが『どうしたのかな』と様子を伺っていると、おばあちゃんからとても優しい声が聞こえてきたのです。
そしてその手には絵本が抱えられていたのです。
そう…
このおばあちゃんは、ジェイドに『絵本を読んであげていた』のです。