この事件をきっかけに、本格的に痴漢を防ぐ方法を考え始めました。そうして母と考案したのが、「痴漢は犯罪です。私は泣き寝入りしません」と書いたカードです。こういうものをつけるのは恥ずかしい、と人に思われるとは思いましたが、私自身は恥ずかしくありませんでした。ここまですれば痴漢してくる奴はいないだろう、という自信があったからです。むしろこの程度で痴漢が止むなら安いものだ、と思いました。カードをつけはじめてからは、嘘のように痴漢に遭わなくなりました。見知らぬ人にカードについて声をかけられることもありました。「頑張ってね」と応援してくれた人や、「気を付けてくださいね」と心配してくれた人。もちろん、その逆のパターンもありました。下校中に、同じ学校の生徒が、「痴漢する方も相手を選ぶよな」と背後で話しているのが聞こえました。これはいつか絶対に言われると覚悟していました。自分でもそう思うかもしれない、と思ったからです。でも、実際に言われると傷つきました。「狙われてなければつけなくていいのに」と思いました。そうして、デザインを変えようという話になりました。缶バッジにして、少し見た目を良くしました。デザインを変えることで効果が薄れるかもしれないと不安でしたが、今のところ痴漢には遭っていません。
母がSNSに投稿した事で、このバッジは大きなプロジェクトになりました。正直、大ごとになりすぎて驚いています。このバッジが世間に受け入れられるとは思っていませんでしたし、今も不安です。でも、たくさんの大人が協力して真剣に打ち込んでいるところを目の当たりにして、それだけの価値があると思えましたし、嬉しかったです。このバッジが世の中に広がり、少しでも痴漢の被害者を減らせるよう願っています。
平成27年11月2日
殿岡たか子(仮名)
この会見には、考案した女子高生の母親も出席し、手記に書かれていること以外にも、通学時間を変えたり、警察へ相談するなど、あらゆる手を尽くしたとそうです。
様々な撃退案を考えた末、一番良いと思えた「痴漢は犯罪です」「私は泣き寝入りしません!」というカードだったそうです。
誰が見ても衝撃を受けるようなデザインであったためか効果は抜群で、使用してからは一度も痴漢被害にあっていないとのこと。
そこでカードではなく、缶バッチであればもう少しつけやすくなるのではないか?という観点から今回のプロジェクトへと繋がったようです。
しかし、この被害にあわなくなったものの、心の傷が無くなったわけではありません。
『Stop痴漢バッジプロジェクト』の代表である松永さんはこう語ります。