しかし、再び母親になるという望みを捨て切れなかったサンドラさん。
自身の命の危険があるにもかかわらず、出産することを決断します。
胎児はすくすくと成長していき、全て順調のように思えました。
しかし、ある日、彼女は脳内出血を起こしてしまったのです。
瀕死の状態でICUに運び込まれたサンドラさん。
そして、不幸なことに彼女は赤ちゃんを出産することなく、この世を去ってしまったのです。
彼女は脳内出血により、脳死の判定が下されます。
しかし、その後に起こったことは、ポルトガル国内ではもちろんのこと、世界中で非常に稀なことが起こったのです。
なんと、サンドラさんの死亡直後、医師がエコーを走らせると、胎児の心拍が聞こえてきたのです。
その心拍は非常に力強く、正常なリズムで鼓動を繰り返していました。
この想定していなかった事態に、医師たちは言葉を失ってしまったと語ります。
驚きの結果を目の当たりにしたメディカルチームは、この診断結果をリスボンにある聖ジョセフ病院倫理委員会に送ることを決断します。
サンドラの家族や、赤ん坊の父親であるミゲル・アンジェロ・ファリアの家族とも面談を行った病院倫理委員会は、最終的に胎児の生存を守るべく、妊娠したサンドラをそのままの状態で維持することを決定したのです。