帝王切開を経て、娘のライランは無事に生まれてきました。
しかしシェリーさんは、動脈にできた血栓のため、手術中に意識を失ってしまったのです。
ジェレミーさんは
「医師はできる限りのことを全てやってくれた。それでもシェリーはもう助からないだろうと、彼らはそう予想していた。僕は初めての子供が生まれてきたことで興奮していた。でも次の瞬間、妻と一生のお別れをしなければならない状況になってしまって、感覚が麻痺したよ」
と当時を振り返ります。
そのとき、看護師のアシュリーさんがあるアイディアを思いつきました。
「新生児には母親とのスキンシップが良いとされているから、母親にも効くんじゃないかと思ったの」
そして裸のままの赤ちゃんを、意識の無い母親の胸の上にそっと寝かせました。
「どこかにシェリーがいることを願っていた。赤ちゃんの肌や心臓の音を感じ取って、泣く声を聞いたら本能が彼女を目覚めさせてくれるんじゃないかって」
小さな赤ん坊は、母親の肌に触れた瞬間、安心したのか泣くのを止めて眠りだしたのです。
「私たちは赤ちゃんをくすぐったり、何度が軽くひねったりした。それなのに、泣いてくれるまで10分もかかったわ」